姫路市立美術館で開催されているストラスブール美術館展の一作品、ロタール・フォン・ゼーバッハによる、La rue de la Douane à Strasbourg, Effet de pluie(邦題は「ストラスブールのドゥアンヌ(税関)通り、雨の効果」(1895年頃)について関連することを更に書いてみます。
絵のモチーフ
メインは表題にある通り、雨に濡れた路面を中心に表現しています。
微妙な光の効果が素晴らしいです。
通りには馬車と二人の人物、そして奥の方にもう一人いるようです。
よく見ると馬車には誰も乗っていないような感じです。
二人の人物が、馬車から降りて、話し込んでいるのでしょうか?
それとも、馬車の馭者が、降りて通行人に話しかけているのでしょうか?
絵画の場所
通りの名を参考に場所を調べて見ると
ストラスブールのイル川に囲まれた旧市街の南部に位地する通りです。
川沿いのノコ歯型に装飾されている屋根のある建物が目立ちます。
これはストラスブールの税関などとして使われた建物です。
ゼーハッハの絵画でも、向かって左側に、特徴ある屋根の装飾を認めることができます。
建物の歴史
1358年に外国商人用のカウフハウスがつくられました。
カウフハウスとは輸入品の卸売り市場であり、保税倉庫でもあり、税関の機能もあるものでした。
こうした機能をこの地に一括したことにより、商取引を管理し、倉庫料を取り、関税を徴収し、卸売の場とすることができました。
ゼーハッハの絵画が描かれた19世紀には、税関機能は撤退しますが、ワインや葉たばこのマーケット、更には魚市場などとして使われたそうです。
現在、内部は「古の税関」l'Ancienne Douaneという名のレストランとしても使われています。ネットでレストラン関連の画像をみると、シュークルートなど美味しそうなアルザス料理が並んでいました。