【2月17日 AFP】イタリア北部ミラノ(Milan)が誇る歴史的建造物のミラノ大聖堂(ドゥオモ、Duomo)の目の前に外来種のヤシの木が突然出現し、反発を招いている。
 14世紀に建造された大聖堂のそばに植樹するこのプロジェクトでは、このほど第1段として42本のヤシの木を植えた。高さが5メートルに達する木もある。今後はバナナの木も植える予定。
 だが、外来植物のまん延を問題視する人々は警戒感を強めている。追い打ちをかけたのが、プロジェクトの後援が米コーヒーチェーン大手スターバックスStarbucks)だという点だ。同社は、イタリアのカフェ文化を支えてきた昔ながらの個人経営店を脅かす存在とみられている。
 著名な建築家・造園家のパオロ・ペジュローネ(Paolo Pejrone)氏は、「都市の緑化に在来種のみを使う必要はないが、ドゥオモ広場(Duomo Piazza)にこうした植物を植えるというのは、無用の愚行に思える」と述べた。
 反移民・反EUを掲げる政党「北部同盟Northern League)」のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)書記長は、もっと痛烈な皮肉を口にした。「ドゥオモ広場にヤシの木とバナナ! あとはラクダとサルを連れてくれば、イタリアの中にアフリカが完成する」。極右政治家のサルビーニ氏は先に、スターバックスがイタリア国内でアフリカ系難民数千人を雇用する可能性があるとの報道に激怒し、「別の店でコーヒーを飲む」と述べたことがある。
 一方、中道左派のジュゼッペ・サラ(Giuseppe Sala)市長も完全には納得していないようで、「一人の市民として現時点での判断は差し控える」としつつ「基本的には嫌いではないが、そこには歴史的な建造物がある」との見解を示している。
 ヤシの木はイタリアでは外来種だが、ローマ(Rome)やシチリアSicily)島など国内でも温暖な地域ではよく見られる。18~19世紀に貴族階級が土産として持ち帰ったのがきっかけで普及し、中にはイタリアの国そのものより歴史の古い木もある。(c)AFP/Angus MACKINNON