私の百人一首紀行

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私の百人一首紀行
大倉俊雄 著
2016年2月20日 初版第1刷発行

百人一首の詠まれた舞台、あるいはその作者に関連ある地を訪問し、写真つきで解説、紹介しています。
それぞれの短歌から適した百の地を探し、訪問し、最終的に一冊の本にまとめるのは大変だったと思います。もちろん、その大変さ以上に、楽しい作業だったとも思われますが。
改めて百人一首を通して読むと、風景を詠んだにしろ愛情を詠んだにしろ、昔の日本人の感受性の豊かさには畏れ入ります。
このような短歌をまとめ、更にはカルタにして遊んだりしているのは、ヨーロッパなどの他の地域にはなく、日本独自のものかと思われます。
といっても、特に調べたわけではなく、ひょっとしたら世界のどこかに似たようなものがあるのかもしれませんが。
最近は「ちはやぶる」というマンガや映画で、百人一首が再評価されているのかな?
自分も子供の頃は百人一首で遊んだものですが、最近はすっかり疎遠になっていました。
それでも、今年の春、小山の緑の木々の中にふと桜の花の木を見つけて、おもわず

もろともに あはれと思え 山桜
花よりほかに 知る人もなし

という一句を思い出しました。
これは前の大僧正行尊の句で
山桜よ、お互いにあはれと思い合おう。私にはお前以外に分かり合える相手はいないのだから
という意味です。
修験道に励み、大峰山で見つけた山桜を詠んだとのことで、呑気な自分とは全く違った厳しい状況だったのでしょうが、それでも心に染み入るものがありました。