山坂登るブエルタ・ア・エスパーニャ14・15ステージ

ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ、この日のコースは平坦基調のコースから、最後上りが続く山頂ゴールである。
坂の上り口が近くなってくるころには、各チームの位置取りも激しくなり、スピードも出てくる。
そんなときに事件は起こった。
総合一位だったアントン選手の落車である。
落車しても、意識ははっきりしているようだったが、ユニフォームも破れており、かなり痛々しい姿だった。
結局ここでリタイヤ。総合一位から、いきなりレースからサヨナラ、である。
よく解説者がレース中に「この動きはチームのエースを守るためのものです」と説明しているが、それが上手くできず、なおかつ運が悪ければこうなるのですよ、という事例をまざまざと見せつけられた。
つくづく、二十日ほどのレース全体で優勝することの難しさを感じた。
 
総合一位がリタイヤしたことにより、ほかの上位総合の選手もより総合一位を意識するようになる。
このステージの優勝は、ホアキン・ロドリゲス選手だったが、総合一位はきわどい差でニバリ選手となった。
ステージ優勝のホアキン・ロドリゲス選手が、ゴール地点や表彰式、そしてインタヴューのときにもサングラスを取らない。
解説の人がサングラス製造者とのアドヴァンス契約か、というようなことをちらっとおっしゃっていたが、翌日のサイクル・ドットコムのニュースによると、虫に目を刺されたとのことだった。晴れ舞台で腫れた目をさらしたくなかったようだ。
毎日長い距離を走るレース、落車だけでなく、いろいろなものに悩まされるものである。
 
 
翌日の第15ステージ。この日のコースも全体的に平坦で、最後に山登り、というパターンである。
平坦というせいもあって、雨にもかかわらず、レースの流れが速い。翌日朝早いテレビ観戦者にとってはありがたいことである。
この日は先頭集団が6人で、それを集団が追いかけていくという形である。
通常、先頭集団は途中でつかまってしまうのだが、この日は違った。
急坂というもの幸いして、なんとか逃げ切れそうなのである。
だいたいこのような先行型の選手は、目立つことは目立つけれども、結局つかまり、苦労の割には結果にはつながらないことが多いのである。
今回のバレード選手も、今まではそのような悲しいキャラだった。
 
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     (表彰式でのバレード選手。J SPORTSのHPからです)
 
しかしあれよあれよという間に、無事ゴールまで逃げ切り、グランツールでのステージ優勝という、名誉を得ることができた。
ゴールシーンや表彰式でも、どことなくぎこちないのが微笑ましい。
ゴールではこぶしを喉の辺りから下におろし、その後自分を指差していた。
よくわからないが、こぶしの動きは数字の1を意味し、自分が一位だということをあらわしているのだろうか。
また表彰式では、台上で贈呈やシャンパンファイトで3回いなければならないのだが、いちいち帰ろうとしており、プレゼンターのお姉さんに注意されていた(笑)。
まあどんなつまらないことを言われようとも、優勝してしまえば、すべて吹っ飛ぶほど嬉しいことである。