美しき人生のために リルケの言葉

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美しき人生のために
リルケの言葉
秋山英夫 訳編
社会思想社
1984年3月30日 初版第1刷発行


リルケの思想について、彼の詩や書簡から抜き出して編集した本です。宗教感や、生と死、芸術などの章にまとめられています。

リルケが実際に出会った、ロダントルストイについても書かれています。特にロダンについては、多くのページを割いており、彼から強い影響を受けていることが伺えます。
またセザンヌゴッホ、更には富嶽三十六景・百景を描いた北斎まで触れています。
北斎について書かれた詩の前半

三十六たびも 百たびも
画家はその山を描いた
つき離され、また引き寄せられながら
(三十六たびも 百たびも)

あの不可解な火山に迫ろうと
幸せを感じながら、期待にわななき、また途方にくれて―


また、彼の生地、プラハについて書かれた詩があるので転載しておきます。
平易な訳でまとめられています。(地名の部分は「地球の歩き方」の読み方に変えておきます)

古い王宮の 風雨にさらされた額を
僕は好んで眺めたものだ。
すでに子供の視線は
あの丘にそって よじ登って行ったのだ。

モルダウ川の急ぎ足のさざ波さえ
フラッチャニの丘には挨拶をおくって行く。
橋の上に立ち並んでいる聖者たちの像も
きまじめな顔をして丘を仰いでいる。

新しい もろもろの塔もみな
聖ヴィートの柱頭を見上げている
まるで子供の群れが
愛する父を見上げるように