河の流れのそのままに
ゆらゆら揺れて流れていく
一葉の木の葉のように
シエナの中世の路地をさまよっていくと
やっと湖にたどり着いたように
扇形の美しいカンポ広場にたどり着く
そこにそびえるは
古代シエナ共和国の本拠地であり
今でも市庁舎として使われている
プッブリコ宮
そばにはすらりとマンジャの塔
その名前の由来と言えば
鐘つきの最初の担当者のあだ名が
マンジャ、つまり「食べる人」と
呼ばれたことによるらしい
そんな変なあだ名から
勝手に空想めぐらせば
太った男がどっこらしょと
鐘をつく姿が目に浮かぶ
太い男のつく鐘の音が
細い塔の真上から響き
古のシエナの人たちに
時を告げていたのかと思うと
いかめしい宮殿の姿も
どこか愉快に感じます