灯火に映えるプラハ城

カレル橋を渡り終え、プラハ城に向かう。
「城」といっても、プラハ城の場合、少しユニークである。
まず、日本的な城の感覚、つまり天守閣のようなもの(英語で言うとdonjon)があって、そこをいざというときのための防御のために・・・、などとは異なる。
また、ヨーロッパ内でも、少し珍しいのではないか。
高台の上に、大聖堂があり、その周りを宮殿などの建物が囲っている。
城と言うよりか、一つの街である。
もちろん、ヨーロッパでは、「城塞都市」と呼ばれ、今に至るまでその形を残しているものはたくさんある。
しかし、プラハの場合、大聖堂が本当に大きいのだ。そして、下から見ると、宮殿に囲まれていることにりより、大聖堂自体を支えている下の部分が隠れ、その尖塔などが引立っているのである。
前の前で述べた映画「コーリャ 愛のプラハ」でも主人公の部屋から見えるプラハ城を何度も映し出していた。
坂道を、くねくねと登っていく。途中の古い建物、その橙色の屋根、合間の教会の屋根が印象的だ。
広場まで登りきり、宮殿内に入る。
時間も遅いので、この日は聖ビィート大聖堂内にすぐに入る。
ここで、ミューシャのステンドグラスに驚く。
見慣れたフランスの大聖堂のステントグラスは、あまりこのようにリアルで近代的なものはないので新鮮である。
一旦外に出て、裏手に回り、大聖堂を眺める。
ここからだと、大聖堂が下まで見れる。ゴシック建築の特徴がはっきりする。
再び、宮殿内に戻り、今度は大聖堂の側から見上げる。高い搭を見上げるには広場が狭く感じた。
広場をうろちょろしていると、ちょうど閲兵が三人組で歩いていた。交代の時間なのだろう。わざわざ交代を見に行く事まではしなかった。
狭い通りを抜け、階段の登城道を降りていく。
カレル橋の一つ北側の橋を渡る。そこから改めて、渡ってきたカレル橋を望む。
橋を渡り終える。そのたもとに、ガス灯のような、古い形の灯があり、ぼんやりとした橙色の光を、プラハの街に放っている。
光のそばに、橋と、ヴルタヴァ河の流れ、そしてはるか向こうに小さくプラハ城が見えた。