映画「オーケストラ!」(ネタバレ注意)


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この映画は、2009年、愛読していたベルギー在住のMさんのブログで知りました。
それから約8年、最近やっとネットでみることが出来ました。
とりあえずは、思っていたよりもドタバタ感を強く感じました。
Mさんのパートナー曰く「少林サッカーのクラシック版だ」とのことですが、確かにそういう側面が強かったかもしれません。
ただベースは過去のオーケストラにおけるユダヤ人迫害、というシリアスな内容となっており、その重苦しさを取り除くためにも、ドタバタが強調されたのかもしれませんが。
それでも、なんだかんだあった末の、ラストのコンサートシーンは圧巻です。
ソリストの女性は美しくて、なおかつ演奏が真に迫っていてノリノリにさせてくれました。あまりクラシックに詳しくない自分でも夢中になります。そしてチャイコフスキーの偉大さも実感させてくれました。
この映画では、脇役の個性が戯画化されているのも面白かったです。
共産党の再興を熱望する元KGBの男、フランスの共産党の党大会にも参加しますが、寂れている感じが哀れです。
また憧れのパリのレストランが今はクスクスなどのアフリカ系レストランに代えられていたのが、今のフランスの現状を表していて皮肉がこもっています。
オーケストラの資金援助は、下手な演奏家でもある新興成金ロシア人。
フランスのシャトレ劇場に文句を言うとき「俺の言うことを聞かないならガスを止めてやる!」という言いぐさがいかにも「らしい」ですね。笑ってしまいました。
その他お金儲けに専心するユダヤ人親子。文句がでないのか心配になりますが、制作関係者の多くがユダヤ人の方そうで、自虐ということで見逃してもらえるのでしょうね。
あとロマのバイエリニスト、天才ソリストさえも魅惑するテクニックを披露するところがカッコ良かったなぁ。
オーケストラの成功理由がソリストの力と神様のお恵みだけ、という点は少し残念。他のオーケストラの団員がスポ根でかつての能力が蘇る、という設定を加えてもらった方が説得力が増して真面目な日本人(笑)には好まれたと思います。
その他オイオイという感じの突っ込みどころは多かったのですが、充分楽しませてもらい、最後に感動させてもらったので、まあよしとしましょう。