エストニア紀行 森の苔・庭の木漏れ日・海の葦

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エストニア紀行
森の苔・庭の木漏れ日・海の葦
梨木香歩 著
平成28年6月1日 発行
新潮文庫

エストニアフィンランドヘルシンキから船で渡って、タリンの街だけ日帰りで訪問した思い出があります。
本屋でこの本を見かけたとき、その時の記憶が甦ってきて、著者の方のことはよく知らないのですが、購入しました。
この本は2008年の訪問記であり、その経験を2012年に書いています。よってエストニアの自然を見つめる目も、東日本大震災後の福島を経験した視点からのものです。
まず著者はタリンを訪問します。
そこの、太っちょマルゲリータとあだ名がつけられている「台所をのぞけ」も訪問しています。そこのボランティアの市民ガイドの老人が無愛想だった、と書かれていましたが、自分が訪問した時も無愛想な老人だったので、ひょっとしたら同じ人かなと思ってしまいました。ただ著者によると、第一印象がそっけないのはエストニア人に多い特徴かもしれないと書かれていましたが。
その後内陸のエストニア第二の都市、タルトゥに行きます。
この街は唯一の総合大学のある街で、同行した通訳の方もここの大学で日本語を教えています。
七百年以上を被支配民族として生きざるを得なかったエストニアの人々が唯一「古き良きスウェーデン時代」と懐かしむ1558-1710年にかけてはエストニア語が大切にされ、教育に力が入れられた時代に設立された大学です。
そして内陸や海辺の島なども訪問して、エストニアの自然を満喫されています。
コウノトリの巣を見つけるくだりでは、自分はアルザス地方を思い出してしまいました。
また海岸線に続く葦原では、どことなくモンサンミッシェルあたりの海岸線を連想してしまいます。
後、バルト海は塩辛くないとのこと。著者は実際に味わって確認しています。出入り口が狭く、奥まっている上に、流れ込む川が多いためだそうです。
ヘルシンキの海岸で海の水を触った思い出はありますが、さすがに味見まではしませんでした(笑)