ラテン語の世界 第7章 黄金時代の文学者~

第7章 黄金時代の文学者
ラテン語散文に少なからぬ寄与をした二人の非専門的文学者
弁論家、哲学者、政治家であったキケロ
軍人、政治家であったカエサル

ウェルギリウスの牧歌の第4歌
「近いある日、一人の赤子が産まれ、その子が大きくなると世界が黄金時代に戻る」
中世においては、この詩はキリストの誕生の予言であると考えられていた。だからウェルギリウスは、キリスト教徒ではないのにそれにふさわしい扱いを受ける価値のある人物であるとみなされていた。

初代のローマ皇帝アウグストゥスは、紀元後14年に病死。
この年から、第16代マルクス・アウレリウス帝の治世の終わる180年までをローマ文学の白銀時代と称する。

ラテン語の戦争はbellum 平和はpax
bellumはロマンス諸語には残っていない。
ローマ帝国に侵入しそれを崩壊させてしまったゲルマン諸民族が、自分たちがお得意だった戦争に関しては被征服民の単語を追い出してしまった。
英語のpayの語源はこのpaxである。paxの派生語である動詞pacare「決着をつける」もしくは「平定する」が原意のこの語がロマンス諸語では商業用語に変質し「払う」の意となった。

vixit=「彼/彼女は死んだ」
生きるvivereの完了形の三人称単数
「生きる」の完了であるから「行き終わった」で「死んだ」意味となった。

世俗的内容を持つ詩集
作者はGoliardiと呼ばれた無名の詩人たちで、ある程度の学問を修めながら正業にはつかず各地を放浪して歩いた人々