史伝 黒田如水
安藤英男 著
すずき出版 発行
昭和62年10月28日 初版第1刷発行
ところどころでドラマの場面を思い出し、もう一度観たくもなってきます。
またこの本は地図とかも豊富で、当時の動きが理解しやすくなっています。
逸話が主なのですが、ちゃんとその原典がわかるようにしているのもありがたいです。
参考文献としては、「黒田家譜」「黒田略記」「黒田家臣伝」「古郷物語」などを主にしています。
それゆえ、幕府を憚って真相を記述していない面や、益軒が藩士としての立場上、主家に不利な事跡はカットしていると思われる点はありそうです。
しかし如水の場合は、反間苦肉のような小策を弄するよりは、大きい意味の智略の人であった。軍略にも長けていたが、それよりも大局的視野から発する、調儀とか計略とかに優れていた。
器局の大きい大策士であって、単なるマキャヴェリアンではなかったと思われる。
しかし徳川時代に入ると、幕府を憚った黒田家では、如水とヤソ教との関係を、記録にとどめていない。
スタインチェンの「耶蘇教大名記」によると如水はヤソ教への虐殺や弾圧を防いだりしている。
またマニラの「サンセバスチャン寺記」にも、ヤソ教の保護に力を尽くし、神父らを保護したとある。
おそらく如水は神・仏・ヤソの三教に対し、それぞれに理解があったのだろう。
如水の幅広い人柄が、ここにもあらわれている。