哲学用語図鑑

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哲学用語図鑑
田中正人 著
斎藤哲也 編集監修
プレジデント社 発行
2015年3月23日 第2刷発行

哲学者及び哲学用語解説を、古代・中世・近世・近代・現代にわけ、イラストをメインにしてわかりやすく解説しています。

平安な心の境地は
①死の恐怖を取り除く
死んでしまったなら、自分はもう存在しないのだから、死を恐れることはない
②最小限の欲望を満たす
飢えない、渇かない、寒くないのみ満たせばよい
③隠れて生きよ
田園の中で仲間との友情を大切にしながら静かに暮らす

パスカルの「人間は考える葦である」
人間は葦に過ぎないが、考えることが出来るので、何にも勝る存在だ」という解釈は間違い
むしろ逆で、人間はちっぽけな葦のように無力
人間は自分の知識や理性には限界があるということを自覚することが必要

公的権力がない状態(自然状態)では人々は互いに自由を奪い合う「万人の万人に対する戦い」
リヴァイアサンのような絶対的な権力(国王)が統治することが必要だと考える
かえって絶対王政を擁護してしまう

既成の価値を否定し、自分の行動の目的を見失うニヒリズム
自分自身で新しい価値を見出す能動的ニヒリズム
既存の価値の損失によって、生きる気力を失う受動的ニヒリズム

弱者が、力ではかなわない強者のことを悪に仕立て上げ、自分を納得させる心理をルサンチマンと呼ぶ
弱者のこの性質によってキリスト教が爆発的に広まった

日常の出来事に気を奪われ、世間の中に埋没している同じ意見をいい、同じ行動をする「誰でもない人」。非本来性を生きる人間
それに対し、いつかはやってくる自分の死を自覚している。そしてその日が来るまで、自分らしい生き方をする決意をしている人は「本来性」

クーンのパラダイム
ある時代やある分野において支配的なものの見方やとらえ方
一つの時代の思考の枠組み
それが転換されると「パラダイムシフト」 
一歩ずつ連続的に真実に近づいているのではなくて、パラダイムシフトにより断続的に世界の解釈の仕方が転換される

人間の言動は、その人間の属する社会や文化の構造によって規定されると考える思想
現象の意味をそれ自体からではなく、それと関係する社会や文化の構造から読み取ろうとする

文明の思考
設計図をもとに計画的に物を作る、エンジニアのような西洋的思考
つねに未来を想定して行動するので、歴史は絶えず変化(進化?)する
野生の思考
ありあわせの素材をそのまま加工せずにものを作る
必要なときに必要なだけ素材を使用し、終わったら他のものに流用する
この思考は歴史の変化を遅らせるのではなく、変化そのものをさせない
ブリコラージュ(器用仕事)の発想
文明の思考により、今環境破壊や核兵器を生み出している
野生の思考と文明の思考を互いに補完させるべき

哲学はつねに物事を一つの様式で囲い込んで「本質」を理解したつもりになっていた
このような固定的な考え方を反省する立場