サクリファイス 近藤史恵 著

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新潮社 発行
平成22年2月1日 発行
 
自転車ロードレース、ツールドフランスなど好きで良く見ており、このブログでもよく書いてるが、つくづく特殊なスポーツだと思う。
なによりも個人競技であるが団体競技、という面が特殊である。
基本的にチームにエースがいて、他の選手はそのエースの個人成績のために自分の成績を犠牲にして走る。
この題名の「サクリファイス」にはそういった意味もある。
小説の中で、エースの言葉がある
「非情にアシストを使い捨て、彼らの思いや勝利への夢を喰らいながら、俺たちは走っているんだ」
またその「使い捨てられる」アシストの言葉として、その仕事が
「好きなんだ・・・なんか、こう、かえって自由な気がする」
こういう見方があるのも興味深い。
アシストを見ていると大変だと思うのだが、こういうのに近いメンタリティを持ち合わせて、自分なりに納得している選手も多いんだろうと思わされた。
それにしても、このようなエースとアシストの関係、日本のサムライの主君と忠臣の関係にそっくりである。
毎年年末になると忠臣蔵が放送される日本、この自転車ロードレースも日本人の精神性に訴えるものがある。
地勢や道路事情で日本では自転車ロードレース自体は難しい面も多いが、レースを深く理解させれば、もっと広まる精神的土壌はあるように思う。