瀬戸内海事典 第5編 瀬戸内海と地中海

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瀬戸内海事典
南々社 編集・発行
2007年12月5日 初版第1刷発行
 
潮汐を起こす力は瀬戸内海のような小さな海では働きにくい。
瀬戸内海の場合太平洋の潮汐が内海に伝わり、地形の影響によって太平洋よりも干満差大きな潮汐が起こっている。
 
一方地中海はジブラルタル海峡が地中海全体に対してあまりに狭く浅いため、大西洋の潮汐はほとんど影響しない。このため、地中海の潮汐と潮流はきわめて弱く、地中海内部で流れを起こすのは主に風と海水の密度分布である。
 
海の生態系に必要な栄養塩は、生物ポンプの作用により光の届かない底層に運ばれるという性質がある。
瀬戸内海では潮流によって光の届く表層に運ばれ、繰り返し生物生産に利用される。
しかし潮流の弱い地中海では底層の栄養塩を持ち上げる作用がほとんどない。このため、河川水の影響域や推進の浅い沿岸以外では、地中海表層は極めて貧栄養で生産性の低い海になっている。
瀬戸内海は栄養豊かな植物プランクトン葉緑素のおかげで緑色を帯びている。しかしその植物プランクトンの少ない貧栄養の海では、青く見える。
 
瀬戸内海気候と地中海気候は似ているといわれる。オリーブや柑橘類などの共通した特産物がある。
しかし降水量は、例えば岡山とローマの違いとしては、岡山では夏雨が多いが、ローマでは冬雨が多いという傾向がある。
 
瀬戸内海と地中海との共通点
変化に富んだ海岸線を持ち、しかも背後に丘や山が迫る
尾道アマルフィは斜面や高台に寺院や町が密集しているという共通点を持つ。