最もやってはいけない都市計画

二十年前ほど、日本の地方大都市で国際会議が開かれた。
そのとき、日本側は、広い道の通った計画的な都市づくりを可能とした「区画整理」の手法について説明を行った後、質問を求めた。
そのとき、西ドイツのプランナーが「中心市街地を改造して広い通りを通すような都市計画は私の国では最もやってはいけない都市計画とされているのですが」
と尋ねた。
日本の地方中小都市における大問題は、郊外へのスプロールにともなって、中心市街地が衰退してしまったことであるが、それにはこの都市計画が関係しているのではないか?
というのも、道路を拡幅することは、既存の街並みを壊してしまうだけでなく、中心市街地の住民や経済活動を郊外へと押し出すポンプとして作用するからである。
 
(ヨーロッパの町と村 P84より)