ベジタリアンスマイリーの大騒動②

Fちゃんは待合室でふっと目を覚まします。
周りをきょろきょろ見ると、スマイリーがいないことに気がつきました。
そっとフィーフィーとハッピーに目配せして「スマイリーはどこに行ったの」と伝えました。
二匹はそれに気づき、クンクンとスマイリーの匂いをかいで、廊下を歩いていきました。その後をFちゃん夫婦がついていきます。
匂いを頼りに廊下を歩いていき、奥の部屋にたどり着きます。
その入り口で、フィーフィーがワンワンほえます。
「この中にいるようね」といいながら、ドアのノブに触れようとすると、突然後ろから大きな声がしました。
「そこで何をしているのですか!」
白衣姿の、保健所の職員が怒鳴ります。
「いや、あの、ここにうちの飼い猫が紛れ込んでしまったようで・・・」
Fちゃんが気まずそうに答えます。
「その部屋の中に入ってはだめです。そこでは最近ヨーロッパ各地で発生している食中毒の検査のために、野菜のサンプルを置いてるんですよ!」
Fちゃんたちはびっくりしました。
「でも、うちの猫がここに入っているようなので・・・」
Fちゃんは弱々しく言います。
「わかりました。それではドアの外から中を見るだけにしてくださいね」
そう職員は言うと、ドアを開けました。
そしてみんな中を覗き込みます。
そこには、食い散らかされた野菜と、ごろんと横たわるスマイリーの姿がありました・・・。
(続く)