新篇 ランボー詩集

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新篇 ランボー詩集
1992年9月3日 三版発行
 
本の最初はランボーの故郷シャルルヴィルのモノクロ写真から始まる。
CHARLEVILLE
PARIS
という電車の古ぼけたプレートが旅情をそそる。
 
訳は先人と違い、非常にわかりやすい訳である。
これを読んで、韻文でない「イルミナシオン」の美しさが、更に理解しやすくなった。
 
ランボーが抱懐した人間的な問題の永遠性
その後退を知らぬ追求のういういしい全人格性
その表現の根源における現実と象徴の恐るべき合一性
青春とともに文学を捨て去った求道的な生涯の悲劇性
 
1870年の普仏戦争。そしてフランスの敗戦。更にはパリ・コミューンの成立と滅亡。
そのとき16歳から17歳だったランボーは一種の戦中派だった。
その時に四回ほど家出をしていた。
その経験を通して彼の内部に可能性における人間劇の残酷な経験がおびただしく蓄積されたのであろう。
 
ランボーの詩は、一つのほとんど不可知な白熱の深淵であり、読む人の個性に応じてさまざまに姿をあらわすだろうと思われる。