パリのメトロ歴史物語

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パリのメトロ歴史物語
ピエール=ガブリエル=ロジェ・ミケル著
蔵持不三也 訳
2011年11月30日 第1刷
 
パリの街には、メトロの駅があっちこっちにある、という印象がある。
実際400近くもの駅があり、パリ市内ならどこからでも500メートル以内に駅があるということである。その駅名の由来について書かれた本である。
基本的には、その駅の地上にある通り、建築物、広場、鉄道駅などにちなんでいるものが多いが、通りや広場になぜその名前がつけられたかということまでさかのぼって説明してくれているので、あたかも地下鉄→通り→歴史などという形で由来を掘り下げて知ることができる。
更に、パリのメトロには二つの名前が組み合わさった駅名も多いが、その関係も示してくれている。時には、全く関係ない関係、というのもあるが・・・。
 
例として、自分がよくお世話になったメトロの駅名について調べてみると、まず最寄りの8号線のBoucicautとは、パリの巨大な百貨店「ボン・マルシェ」を建てた商人アリスティド・ブシコーにちなむものである。
妻が、彼の残した利益を元に、15区に病院を創設していることが関係している。
続いて北に向かうとFelix Faureという駅がある。
これは共和国大統領の名前である。他のフランス大統領でメトロに名前を残しているのは、シャルル・ド・ゴール(シャルル=ド=ゴール・エトワル駅)とフランソワ・ミッテラン(ビブリオテーク・フランソワ・ミッテラン、14号線)だけである。
続いてCommerce駅となる。ここも通りの名前が由来だが、さらなる由来はコメルスというのは19世紀末の共和派強かった小都市によく見られた呼称である。
そしてLa Motte-PicquetーGrenelle駅だが、これは18世紀の海軍総督のピケ・ド・ラ・モット伯トゥーサンに由来する。
続いてはEcole Militaire駅だが、これは1752年から60年にかけて建てられた陸軍士官学校に由来し、なお現在でも国立高等軍事学校として存在している。
 
などなど駅名一つ一つ見ていっても、その中に潜む深い歴史を詳しく説明してくれている、誠にありがたい本である。