パリ 中世の美と出会う旅

イメージ 1
 
パリ 中世の美と出会う旅
著者 木俣元一 芸術新潮編集部編
発行所 ㈱新潮社
2008年9月25日 発行
 
パリ中心に、中世を発見するという観点から編集されたガイドブック。五日間で回れるように紹介してくれています。
1日目はシテ島のサント・シャぺルなど
2日目はルーヴルやサン・ジェルマン・デ・プレ聖堂など
3日目はシャルトルへ
4日目はクリュニー館やフィリップ・オーギュストの城壁など
5日目はサンリスやロワイヨーモン修道院
 
中世美術は、ルネサンス以後の美術と比べて、正確な透視図法もなく、人間も立体感がなく骨格もいい加減だといわれてきた。
しかし逆にいえば、表現についての禁じ手や拘束が少なく自由度が高いことを意味すのではないか。
 
シテ島では、やはりサン・シャぺルの輝くステンドグラスが美しい。
(シャルトルもステンドグラスで知られているが、自分が行った時は天気が悪かったからか、あまり輝きがなかったような記憶がある)
 
今でもさりげなく、所々に残っているフィリップ・オーギュストの城壁。この本ではその詳しい地図を載せてくれているので、それをたどって訪ね歩きたくなる。
(日本以外、ヨーロッパなどで街という概念を考えるとき、城門や城壁を抜きにしては考えられない)
 
サンリスもロワイヨーモンも電車で行くならシャンティイを起点として、バスやタクシーを使うことになる。
(そのためシャンティイは手軽に行けたが、その二か所は行かなかったのが残念に思う)
 
フランスの中世芸術は16世紀を迎えると突然消えてしまう。
その理由は宗教改革にある。
宗教改革によりキリスト教を外側から見つめなおすときに、美術の存在が「偶像」と見なされるようになってしまった。
しかしそれでも中世芸術の豊かな経験は、現代でも記憶の古層として残っている。
 
それにしてもこういう本を読むと、仕事を一週間ほどまるまる休んで、パリに飛んでいきたくなり困ってしまいます(笑)。