18世紀の建築 バロックと新古典主義

SDライブラリー16
18世紀の建築  バロック新古典主義
J.サマーソン 著
堀内正昭 訳
鹿島出版社
 
18世紀前半は、バロックの精神と造形によって支配されたのに対して、後半は新古典主義の時代である。
前半の特徴的な建築タイプは、教会堂と宮殿であり、後半のそれは各種の公共並びに機関の建築である。
 
18世紀の建築史において、ローマバロックの受容と同じく重要だったのは、その徹底的な拒絶である。
ローマバロックに対して、彼が正しいとみなしたものは古典のウィトルウィウス(前1世紀)、そしてアンドレア・パッラーディオ(1508~80)、そしてイギリスのイニゴー・ジョーンズ(1573~1652)であった。
フランス古典主義はヨーロッパ中で尊重され、上記の公式をもっていたイギリスだけが、その権威を無視した。
 
建築と文学において、啓蒙主義は18世紀の半ばにその頂点に達した。
啓蒙主義の影響を受けやすかった建築物として、劇場、図書館、博物(美術)館、病院、刑務所、そして商業建築である。
 
啓蒙主義を貫く赤い糸は、「慈善」すなわち、社会をより理性的、より人道的にしようとする希望だった。これは建築においては病院と刑務所にあてはまるものだった。
18世紀「ホスピタル」という言葉が受け継いだものは、救貧院であり、学校であり、療養所であり、不治の病人の収容所であり、精神病院であり、孤児院だった。