ヨーロッパの古城

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ヨーロッパの古城 城郭の発達とフランスの城(新装版)
太田静六 著
2011年1月1日 新装版第1刷発行
 
前編で古代エジプトからアッシリアバビロニア、古代ペルシャなどのオリエントに入り、次いで古代ギリシャから古代ローマ帝国の城郭を扱う。
後編ではフランスの古城を取り上げている。
厳密には城というだけでなく城壁都市と城塞も含んでいると書いた方がこの本の性格には正しいと思う
 
日本では城主らの住む城を濠や石垣で守っているが、一般民衆のための城壁は無い。これはヨーロッパやオリエント、中国大陸や朝鮮半島でも見られない。
日本は基本的に国内戦争がほとんどだったが、他の地域は異民族の来襲に備えて、自然と住民全体を守る体制が整えられた結果である。
 
ローマにしても、いわゆる城門というのは観光客にはあまり人気がない。ただ、いわゆる都市国家という概念から言うと、そのような門も魅力に感じてくる。
 
中世に強力な統一国家体制をしいたイングランドでは、城郭の様式も統一されていた。
それに対しフランスはイングランドの影響を受けていた。
更に国内戦争も多く、実戦経験により技術の革新も進んだ。
そして内容的に大変豊富で、変化も大きい。
地理的にはロワール河、セーヌ河、ローヌ河沿岸に集中する。
 
実際に自分が見たものでは、ヴィルヌーヴ・アヴィニオンのサン・タンドレ城砦のしっかりした姿と、タラスコン城の四角い姿は印象に残る。いかにも堅固な城砦という感じがした
 
シュノンソー城の橋上宮殿は、フィレンツエのヴェッキオ橋から着想を得たものではないかという著者の説。
シュノンソー城を設計したフィリベール・ド・ロルムは長くローマに留学し、フィレンツエ歴遊の際に、ヴェッキオ橋もみているはず。