EU・ヨーロッパ統合の政治史~その成功と苦悩(2月放送分)」

1957年のローマ条約により、欧州経済共同体(EEC)と欧州原子力共同体(EACA)が創設された。
 
EECが目指したもの。それはヒト、モノ、カネ、サービスが自由に移動できるいわゆる「共同市場」と呼ばれる単一経済空間の形成であった。
 
EAEC条約は前文で原子力産業の迅速な立ち上げと発展のための必要な条件を創造することで、加盟国の生活水準と他国との関係の発展に貢献することをその任務としている。現在とは違い、50年前は、原子力エネルギーに対する期待感は高まるばかりであった。
 
1965年、ドゴールにより、EECは機能不全に至る。いわゆる「ルクセンブルグの危機」と呼ばれるものだった。ここには「祖国からなるヨーロッパ」か「連邦的ヨーロッパ」かという対立軸によるものだった。
 
1979年に欧州議会では、加盟国の議員が指名されて欧州議会の議員を兼務するという「兼任の議会」をやめて、第一回の直接選挙がおこなわれる。ここに欧州議会の正当性は格段に増した。
 
ASEANとEUは組織原理も内容も大きく異なる組織である。ASEAN自由貿易協定すら達成できていない。また内政不干渉と主権の尊重が設立宣言ではっきり明記されており、現在に至る。EUはEEC設立から10年ほどで関税同盟を完成している。
 
トルコ加盟にはムスリムの問題が多く取りざたされているが、これは外面的には加盟反対にはしがたい。それよりも欧州議会議席数が人口数によるため、トルコが加盟すると、議会を国家として支配してしまう恐れがある。