ルネサンス画人伝

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小谷年司 田中英道 訳
 
ジョットやボッティチェルリ、ラファエッロやダヴィンチ、そしてミケランジェロやティツイアーノまで、ルネサンスを彩った芸術家たちの人生や作品について叙述している。
同じ芸術家としての立場から見た、いろいろなエピソードや、作品についての批評はたいへん興味深いものである。
特にヴァザーリと同時代に生きた芸術家については生々しい貴重な話が読める。
その中でもミケランジェロのところには、多くページを割いており、彼に対して賞賛、そして立場を擁護している。
同時代の現場証人として、ミケランジェロが彫刻や絵画、更には建築の分野において、いかに苦労したか。
その苦労には、制作の苦労だけでなく、教皇などの権力者との葛藤、またミケランジェロを妬み誹謗中傷する他の芸術家との争いなども描写している。
そして最後には葬儀の模様まで詳しく書かれている。
 
文中でいろいろな作品を紹介しているが、脚注によれば今では無くなっている作品も多い。時代が経ているので仕方ないといえば仕方ないが、やはりもったいないという気がする。まあその分、現存している作品のありがたさを実感できる。