ルネサンス画人伝
ヴァザーリ 著
小谷年司 田中英道 訳
同じ芸術家としての立場から見た、いろいろなエピソードや、作品についての批評はたいへん興味深いものである。
特にヴァザーリと同時代に生きた芸術家については生々しい貴重な話が読める。
その中でもミケランジェロのところには、多くページを割いており、彼に対して賞賛、そして立場を擁護している。
同時代の現場証人として、ミケランジェロが彫刻や絵画、更には建築の分野において、いかに苦労したか。
そして最後には葬儀の模様まで詳しく書かれている。
文中でいろいろな作品を紹介しているが、脚注によれば今では無くなっている作品も多い。時代が経ているので仕方ないといえば仕方ないが、やはりもったいないという気がする。まあその分、現存している作品のありがたさを実感できる。