
「署名の間」の最後は「アテネの学堂」です。
この作品は、登場人物にしろ舞台にしろ、このラファエッロの間全体で、難しいことは抜きにして、いい意味で一番一般受けする作品であることは間違いないでしょう。
人物を見ていく前に、その背景を見てみます。
もともと舞台は、題名や人物から判断すると、ギリシャ栄光の時代のアテネですが、建物自体は、古代ローマ後期の大浴場などの巨大建築物やヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂の内部を思い起こさせるようなヴォールトを中心に描いています。
その壮大さに、さらに遠近法を駆使して奥行きを持たせ、さらに彫像などを加えて、威厳のある、偉人たちに似合う舞台をつくり上げています。
あとこの絵とは直接関係無いのですが、左上の天井画が気になりました。
というのも、この絵が、なぜか新潮美術文庫「ラファエルロ」の表紙に使われていたからです。
題名は「天体の運動」というそうですが、この絵をなぜ表紙に選んだのか気になるところです。