聖ペテロの解放(ヘリオドロスの間、ラファエッロの間)

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この絵画は、同じくヘリオドロスの間にある「聖ペテロの解放」です。
これは新約聖書の使途行伝に叙述されている一つのエピソードを絵画にしたものです。
場面は三部に分かれています。
まず中央がヘロデ王に囚われた聖ペテロと、その前に現れた天使です。
そして向かって右側が、天使の奇跡により獄から放たれた聖ペテロが、天使と一緒にいます。聖書には「(聖ペテロにとっては)ただ幻を見ているように思われた」と書かれているとおり、聖ペテロの唖然とした表情が見られます。そして下には階段があり、そこで眠りこけている警備の兵士です。
そして左側には薄明の中、聖ペテロがいないことに気付いた他の兵士が、慌てて駆け上がる姿です。
通常の長方形の壁面とは違い、窓があるため門の形のようになっています。そこで三箇所の長方形に分け、マンガのコマのようにし(鉄格子のおかげで自然に分けられています)、ひとつの物語を時系列で追えるような仕組みになっています。
また構図としても、左右の階段を、あえて正面に向けて配したりしています。
変則的な壁面を上手く利用した絵画であり、ラファエッロの融通のきく創造力の豊かさを感じます。