ヨーロッパの中世 芸術と文化

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ヨーロッパの中世―芸術と社会
ジョルジュ・デュビィ 著
池田健二・杉崎泰一郎 訳
1995年4月25日 初版第1刷発行
 
中世のヨーロッパについて「紀元千年」「神は光なり」「大聖堂、都市、学校」「14世紀の転換」などの小題に基づいて、豊富な写真とともに、荘厳な文章で叙述されている。
また、章の合間には中世に書かれた資料を載せている。ただ、当時書かれたもので、生々しい模写もあり、気の弱い自分にとってはえげつなく感じるところもあった。
 
修道院は自分の殻に閉じこもっていた。大聖堂はだれに対しても開かれている。大聖堂は、信仰篤き民衆全体に向けられた公的な宣言であり、無言の演説であり、そして何よりも権威の誇示である。
 
ダンテはその(神曲)地獄の奥底に、裏切り者のユダと共にブルートゥスとカッシウスを置いている。なぜなら彼らはカエサルを裏切ったからである。それはローマでの、帝国での、すなわち彼がこの建造物(神曲)を捧げたイタリア人の祖国での出来事である。
 
カエサルの時代に対する)ノスタルジーは、別の場所から来たものをすべて捨て去るよう人々を駆り立てた。その手始めは、中世初期をつうじてイタリア半島を覆い続けてきたビザンツ文化の厚いマントだった。このノスタルジーはある解放を、国民性の解放をもたらした。14世紀初頭には二人の人物が英雄に祭り上げられた。詩人ダンテと、画家ジョットである。