西洋絵画のひみつ

 

 

西洋絵画のひみつ

藤原えりみ　著

いとう瞳　イラスト

２０１０年３月１日　初版第１刷発行

朝日出版社

 

　西洋絵画の見方について、旧約・新約聖書、静物画・風景画、裸体画の言い訳、などなどの観点から、やさしく解説していただいてます。

　穏やかな雰囲気のイラストとともに、実際によくしられた名作を例に挙げて説明していますので、理解に大変役立ちます。また漢字にルビを振っているなど、子供たちにもわかりやすいと思います。

　それにしても、改めて振り返ってみても、旧約聖書の神様は厳しく民を試していますね。いかにもユダヤ民族の苦難の歴史を物語っているように感じます。

 　またキリスト教の１２使徒や聖人もちゃんと特徴がわかるようにイラストで描いていただき、参考になりました。

 

　例示された名作の中で、ジョットの作品「キリストに接吻するユダ」も例示されていましたが、改めて凄い作品だと思いました。ごじゃごじゃした群衆の混乱の中で、キリストは中心でじっと静止しています。そしてユダを見つめている視線があまりにまっすぐで鋭くて奥深いです。悲しげでもあり、厳しくもありという感じで、ユダを見ているだけでなく、不完全な人間全体の過ち・悲しさをすべて見通しているような横顔です。本当に強烈な印象を残しますね。