ツールドフランス 第9ステージ 手負いの王者の意地とプライド

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ツールドフランスをやっと家のケーブルテレビでも見ることができた。
今回は山岳コースである。ギャラリーも盛り上がっている。
後半、先頭グループが4人に絞られる。その後に優勝候補コンタドールなどの小グループ、そしてマイヨジョーヌ(黄色いジャージ、総合一位を意味する)のエヴァンスを含む大集団という構成だった。
ところがその総合一位のエヴァンスが、山岳の登りであれよあれよという間に遅れてしまい、総合一位をあっさり大差で明け渡すような状況になってしまった。
そんな異常事態のため、レースに動きが起こり、先頭グループが後続を引き離してきた。
選手の狙いは、総合優勝、ステージ優勝、山岳賞などいろいろである。
山頂通過をすれば、その時点の順位上位は山岳賞のためのポイントがもらえる(一位が一番高得点で順位に従って減っていく)。この日は、山頂直前までグループの一番前で風圧を一身に受けていた選手を出し抜いて、そのポイントをゲットしようとした選手が前に出ようとした。
とその瞬間、その選手は風圧を受けていた選手に軽く叩かれていた(笑)。ルールでは問題ないが、さすがに卑怯だというのがあるのだろう。
結局両者とも山岳一位はゲットできず、別の選手(多分この二人よりかは格下だと思う)がこの混乱に乗じポイントを稼いだため、めでたく山岳賞に輝いていた。
 
この日のレースは結局フランス人選手のカザールが優勝した。
実はこの選手は、ほかの選手に比べて風圧を受けていたほうなのだが、そのような不利な流れに反し勝ったのはさすがである。
そして総合一位は、シュレック選手が獲得した。
前日までの総合一位エヴァンスは、約7分遅れでゴール。
同じチームの童顔の選手が風圧避けのアシストをしていたが、二人とも鬼気迫る表情だった。
そしてゴールするやいなや、その二人は疲れきった体を支えあうかのように抱き合っていた。
翌朝起きて、携帯でニュースを見ていると、エヴァンス選手は腕を骨折したのを隠してレースに出ていたとのこと。
そんな状態で出走したのだから、遅れてしまうのは仕方ない。
それでもアルカンシェル(虹色ジャージ、世界選手権王者を意味する)そしてマイヨジョーヌの誇りとプライドにかけて、死力を尽くして走りきったのだろうな、と思う。
 
(写真はゴール後のエヴァンス選手です。J SPORTSのHPからのものです)