ファンロンパイEU大統領の講演にて

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先日、ヘルマン・ファンロンパイEU大統領来日に伴う講演会に行ってきました。
自分にとっては、オバマ大統領よりも興味がある人なので、貴重な機会に立ち会えラッキーでした。
EU大統領は、この日の朝に日本に到着し、早速この講演会に来ていただいたそうです。
また、ご本人にとっては、1998年、ベルギーの副首相時代に、ベルギー王室の日本訪問の随行で来られて以来2度目の来日だそうです。
大統領は俳人としても知られており、最近俳句集を出版されています。
講演会の前置きも、俳句に絡んだ話しとなりました。俳句はくりかえし変化する自然に対する感情が重要なものだが、その一方政治は繰り返しがきかず、変化に対する努力が必要だと訴えていました。
 
現在の状況として、2008年にG8からG20となり、BRICSなどの新興国の発言力が高まったこと、そしてコペンハーゲンの気候変動サミットでは日・欧は排出削減を訴えたが、アメリカとBRICSに押し切られてしまったこと、また8年間もの話し合いの後、リスボン条約を締結したが、まだ100日しか過ぎておらず、まだ成果は出しにくいこと、などを話されました。
 
日本の動向で興味深いものとしては
    官僚を押さえ、議員が主導するような働きを構築しようとしていること
    新たな日米関係
の3つを挙げており、東アジア共同体については、歴史は必然でないという観点からは、決して不可能ではないという言い方をされていました。
そして4つの分野での欧日の協力を訴えていました。それは
    通商。まだ非関税障壁が多いため、それを取り除いていく努力が必要。
    外交。密接な政治的対話が必要。また協力の例としてはアフガニスタン復興のための警察の訓練等。
    ネットワークセキュリティ。サイバーテロに対する脅威の除去が必要。
    気候変動に対する積極的な取り組み。
というものでした。
 
最後に一句詠まれました。その日本語訳は
収穫の 落ち葉舞い散り 夜も近し    
というものでした。一仕事終えたときの気持ちを詠んだのでしょうか?
 
最後に学生さん優先で質問の時間がありました。
Q 欧州より多様なアジアでは、共通通貨はすべきではないのか
A 欧州も大戦による一千万人もの犠牲の後、最初は石炭・鉄鋼の管理や関税同盟などの段階を経て、50年かけて通貨統合に至った。現実的・具体的に、一歩一歩進んでいくべきだ。
 
Q ロシアのEU加盟について
A ドゴールによると欧州は大西洋からウラルまでと言っていた(笑)。ロシアが候補になっているのかはわからない。
 
Q EUとIMFギリシャ支援、欧州通貨基金、EUはどれほど各国の金融に介入するのか
A まず国内で対策をとってもらってから、その後EUが支援していく。まだリスボン条約後間もないため、条約との整合性がある対応策が整っていなかった。欧州通貨基金を創設するかもしれないが、それは決してIMFに取って代わるものではない。
 
(筆者注。内容については、筆者の主観や、単なる聞き間違い等により、実際のご発言と少し異なっている部分もあるかと存じますが、ご了承願います。写真は神戸新聞のHPからのものです)