パリの秘密

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パリの秘密
鹿島茂 著
岸リューリ 本文イラスト
中央公論新社 発行
2006年10月10日 初版発行

19世紀フランスの社会生活と文学が専門の著者。パリをエッフェル塔から、街並みの何気ない装飾まであらゆるものの「秘密」を、各3ページで取り上げている。
パリの街は、数百年前の建物やオブジェが平気で残っている。しかしそれに対して、たいがいの人は無関心で通り過ぎる。それにより、いわゆる「地霊」(ゲニウス・ロキ)はパリではいつまでもそこに残り続ける。

星の王子さま」に出てくる点燈夫に思いをはせる。1950年代まで、パリでは点燈夫が街を廻っていたという。唯一王子様から友達にすればよかったなあと思われる栄誉。サン=テグジュペリが亡命していた頃のニューヨークではもう見かけなくなっていた。

パリにこれが消えたら、パリでなくなってしまうものとして、エッフェル塔マロニエ、そして・・・をあげている。(個人的には・・・がなければ、パリだけでなく、ヨーロッパの旧市街すべて味気なくなってしまうのではないかと思う。)

イラストが、地味な少女漫画(もちろんいい意味で)のようで雰囲気が良い。
なおかつ著者と同行していたかのようにちゃんと観察して描いているなあと思い、その方についてネットで調べてみたら、何のことはない、著者の奥様だった。