バチカンの素顔

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バチカンの素顔
バート・マクダウェル 著
ジェームズ・L・スタンフィールド 写真
高橋健次 訳
日経ナショナル ジオグラフィック社 発行
2009年6月15日 第1版1刷

バチカン内部の様子や美しい芸術作品、教皇枢機卿の姿などなどの写真が、説明文とともに紹介されています。
バチカンでの壮観なミサや、有名な作品群などとともに、ヨハネ・パウロ2世やベネディクト16世のお姿も映し出されています。
前の教皇ヨハネ・パウロ2世について、ローマの若い一神学生の意見として「過去500年で最高の教皇」と述べられていました。
その意見については、近代の他の教皇についてあまり知らないので何とも言えませんが、たいへんハードなご活動をされていたのは、自分でも実感しました。
ヨハネ・パウロ2世の写真では、夜のコロッセオの中を、たいまつの火に導かれながら、十字架を運び歩く姿や、ポーランドのグラニスクでの、75万の信者まで映るように、教皇の背後から撮られた、ミサの模様(横長で中見開きで編集されている)写真が印象的でした。
その他バチカンの夜景や、真紅の衣装の枢機卿たち、そして派手な衣装のスイス衛兵隊が絵柄として興味深いものでした。

エピソードとしては、シクストゥス5世のものが面白かったです。
氏が高齢で、腰も曲がり、松葉づえをついて歩く状態を見て、ほかの枢機卿はどうせ長くはないということで、教皇に選びました。(枢機卿は次期教皇候補者でもあるため、長生きされると困るのです)
しかし、彼が教皇に選ばれるやいなや、松葉杖を投げすけ、こう叫びました。
「これまで私は腰をかがめて天国への鍵を探してきた。今日のその鍵は見つかった」。
そして、彼は、まっすぐに立ちあがった・・・。
ちなみに、今では枢機卿も定年制であり、80歳で引退するそうです。