勇士を迎えるローマの神々(ジロ・デ・イタリア最終日)

イメージ 1

ジロ・デ・イタリア、いよいよローマで最終日を迎えた。
前日までメンショフが総合1位を守り、ディルーカは2位にとどまっている。
どこかでディルーカが1位を奪うかと思ったが、それを防いだメンショフはさすがだ。
ディルーカが何度スパートをかけても、納豆のごとく(日本的なたとえだ)ぴったりと追走し、タイム差を詰められないようにした。
最終日の前日でも、スプリントポイント前の攻防など、見ごたえがあった。

いよいよ最終日、ローマでの個人タイムトライアルである。
コロッセオなどがそびえたつローマの街中を、一人ずつ疾走していく。
ローマが最終日に選ばれたのは、ジロ・デ・イタリア百周年を記念する意味合いもあるらしい。
ツール・ド・フランスでは、パリが絶対的なゴールだが、イタリアでは通常ミラノがゴールになっていたようだ。
パリがゴールだと、戦いに疲れ切った選手たちを温かく迎える「女神」、というたとえがぴったりだと思う。
ローマではどうだろうか、と考えてみる。
かのローマ帝国の遺跡の間を疾走する姿を見ると、やはり「神々」と神様を複数にしてご登場いただくのが、一番似合っているような気がする。

ローマの神々に見守られつつ、選手は一人ずつ出走していく。
メンショフディルーカのタイム差はたった20秒、しかし最終ステージのようなスプリントではメンショフの方が明らかに得意なため、逆転はないだろうと予想されていた。
しかしローマの神々はちょっとしたいたずらを仕掛けてくる。
ローマに小雨を降らしたのだ。
路面が濡れて滑りやすくなる。
その状態で、順調に走っていたメンショフが、ゴール約1キロ前で、転倒するアクシデントを起こしてしまう。
しかし彼は、そんな神々の与えたもう試練をくぐり抜けた。
無事すぐに自転車に飛び乗り、最低限のタイムロスで、ゴールまで滑走する。
見事総合優勝。
今までクールに、ポーカーフェイスでレースを運んできた男が、ゴールではさすがに思いっきり歓喜していた。

ディルーカは地元イタリアの期待むなしく2位。
しかし彼が闘志をむき出しにして、レースに打ち込む姿は、我々にも深い感動を与えてくれた。
メンショフディルーカ、そして参加したすべての選手に、神々の祝福があらんことを祈る。

(写真はJ SPORTSのHPからです。向かって左からディルーカメンショフ、そして総合3位のペッリツォッテイです。)