ルネサンスとは何であったのか

イメージ 1

ルネサンスとは何であったのか
塩野七生ルネサンス著作集
新潮社
2001年4月15日 発行

ルネサンス人の嚆矢として、聖フランチェスコとフリードニッヒ2世をあげる。
既成の考え方に疑問を抱き、それを明言する勇気を持った人たち。
二人はいわゆる「ハーフ」で、当時異文化に開かれていたイタリアに生まれ、既成概念に疑問を抱き、高等教育を受けていなかったという共通点がある。
フリードニッヒ2世はイスラム教徒に対しても寛容だった。

ソロモンの栄華よりも一本の百合を愛したキリスト。しかし人間はどちらも愛してしまう。美しく飾られた教会は祈りの場にそぐわないという非難は一般庶民の感情に無神経でありすぎる。教会は、洗礼、結婚式、葬式の場であり、なおかつ娘の祈る姿を、彼女を愛する男が後部座席から熱い視線をおくる場所でもあるのだから。

覇気とか活力とか気力がみなぎったルネサンスの時代。それらの力は善悪に関係なく発揮される。

異なる主義を認めなかったのが反動宗教改革ルネサンスはこの反動宗教改革により殺された。

フィレンツェ近くの村にたつ銅像。ニューヨークのハドソン川に橋の名はその銅像の人にちなんでヴェラッツアーノ橋と呼ばれる。彼はカナダからフロリダ半島までの北米海岸を初めて走破した人。内陸の人でさえ、そのような大冒険に駆り立てたルネサンスの時代。

ヴェネツィア人は、聖遺物を篤く信仰した。その理由は聖遺物信仰の方が生きた聖人を信仰するより実害が少ない、とのこと。サヴァナローラなどの起こす危険性を敏感に感じていたヴェネツィア人。

ティツィアーノの芸術の特色は、その色彩にあるという。陽光が運河にも反射して、より色彩が多彩になるためではないか。

ルネサンスが現代に残した遺産
〃歃冑福F侒磴世韻任覆、心眼でも見れれば言う事なし
∪鎖世瞭販に対する強烈な執着
F鷂杵世任覆一元論的な考え方。神と悪魔のような考え方でなく、神やさらには人間の中にも、善と悪が同居しており、善をいかに多く発揮し、悪を抑えるかということになる。そのためには強靭な精神力、克己が必要である。