アルプスの谷 アルプスの村

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アルプスの谷 アルプスの村
新田次郎 著
佐貫亦男 写真
1973年8月30日 4刷
新潮社

登山に関する数々の小説を執筆し、なおかつ気象庁の職員だった著者。アルプスの山々および周辺の村に対する視点も玄人のそれである。

アルプスの村で、人懐っこいガイドと出会う。このあたりではガイドが一番の憧れの職業である。やはり人の命を預かる大切な仕事であるという認識がある。かつてハンニバルがアルプス越えをしたときでさえ、やはりアルプス原住民のガイドに命運を賭けざるを得なかった。

アルプスで遭難し、パーティの半数だけが生き残った悲劇に思いを馳せる。そのパーティの中の初心者を「へぼ」と断言している。冷たいように感じるが、登山の危険を熟知しているからこそ、そのようなきつい言葉も出てきたのではないか。

山の上のスイスという国が、それなりに牧場などとして整備され、人々が生活の営みをできる状況を作り出している。人々が厳しい自然を克服しているのを賞賛する。

その一方、貧しい状況におかれている村を見るのも忘れない。そこではバスも古く、なおかつ運転手の心も荒れている。その運転手は20分ほど時間に遅れた挙句、客を置き去りにしようとする。そして乱暴な運転の結果、事故も起こしてしまう。幸い著者たちには怪我はなかったが、運転手の冷たい態度に心を暗くする。

写真はベルギー娘と著者
マッターホルンの威容
国境の街ブリアンソン です