ヘロドトス「歴史」(下)

ワイド版 岩波文庫 296
ヘロロドス 著
歴史(下)
松平千秋 訳
2008年4月16日 第1刷発行

ヘロドトスの歴史(下)では、ペルシャギリシャ遠征の模様が語られる。
ペルシャ側の大群は、あたかも多国籍軍の如く多民族からなっており、兵力も膨大であり、それこそ行軍の途中の河は彼らの飲料水として使われたため、干上がってしまった、とまで言われるほどである。
まあとりあえず、戦争というのは迷惑なものである。
それを受けるギリシャ軍。アテネやスパルタなどが連合して、大群に立ち向かう。
最近の映画の主役でもあった、スパルタのレオニダスなどの奮闘のもと、森の如く、空をも暗くするほど降り注ぐ矢など、圧倒的な兵力の差にもかかわらず、ギリシャ側がなんとか勝利をおさめる。

この下巻には解説もあったので、そこから引用すると、この作者のヘロロドスは紀元前485年頃に生れた人で、この「歴史」では、東と西、後にアジアとヨーロッパと区別される地域、がいかに戦ったかを記録するためのものだったらしい。
興味深かったのは、ヘロドトス自身はこの物語を書くだけでなく、彼自身が口演することもあったらしい。
その時の聴衆の反応が最終的な作品にも影響を与えたのだと推測できる。
それを読んで、平家物語が琵琶法師により語られた事を思い出した。
時代も場所も全く違えども、同じ合戦記として、ライブで色々演じながら、最終的に文章でまとめられた所は同じようである。