サン=テグジュペリの言い訳

再び「永遠の星の王子さま」より、サン=テグジュペリの言い訳を二つ転載いたします。
どちらも夢があって面白いです。

その1
サン=テグジュペリも、多くの作家がそうであるように、原稿を書けない言い訳をいろいろ伝え、それがなくなるとはじめて書き始めるような人だった。その言い訳の中で「自分の守護の天使」を出してきている。
原稿を書こうとしたら、その天使が「お前が遺作を書いていることは知っている」とホテルの部屋に入ってきて優しく言ってきた。それに対して反論している内、天使との議論になってしまい、午後中原稿を書くところではなかった、との苦しい言い訳をした。そして今度はうまく対処するからと約束した。

その2
サン=テクジュペリは、ニューヨークにいるときでも、英語は全く喋らなかった。完全主義者だった彼らしいのだが、ニューヨークで英語を話さない利点を、このように述べたという。
「コーヒーが一杯欲しい時には、カフェテリアのかわいいウェイトレスの所へ行って、カップと、受け皿と、スプーンと、コーヒーと、クリームと、砂糖とを身振りで示せばいい。そうすれば彼女はにっこりする。わざわざ英語の勉強に行って、その微笑を失ってしまう理由がどこにあるのかね。」

言い訳をとりあげても、いかにも夢想家で、粋な氏ならではのエピソードですね。