パリの夏至の日

今日は夏至だが、パリでの夏至の日の思い出を書いてみたい。
この日は、フェット・ドゥ・ラ・ミュージックで、あちらこちらで演奏が行われるのだ。
少し残業しなければならず、定時に遅れて職場を出る。それでもまだ日は十分明るい。
近くのパレ・ロワイヤルに向かう。
アンティークなどの店がある建物に囲まれた中には、白黒の円筒や、大きな銀の玉などのオブジェがある。
また普通の公園もある。昼休みなどは、ここで噴水を眺めながら、よくぼんやりしていたものだ。
この公園の方で、ミュージシャンたちが何箇所かに集まっている。
その中に普段着の小さな男の子がいた。
何をするのかと思っていたら、きれいなボーイソプラノを聞かせてくれたのだ。見かけとのギャップが面白い。
しばらく聞きほれていていた。
また公園内のほかのバンドなども見ているうち、オブジェ周辺に人が集まりだした。
そのうちバンドが出てきて、演奏を始める。熱心なファンが盛り上がる。
その群集のそばに、きれいな日本人女性が、撮影クルーを引き連れていた。
元フジテレビのアナウンサーで、フランス人と結婚した方だった。思っていたより小柄だった。
レポートをし、去っていった。
演奏はなお続く。曲の中で「ジーロ!」と聞こえる所でみんな唱和というか叫び声を上げる。それなりに知られているバンドなのだろうが、ぼくには良くわからなかった。
9時すぎになったので、パレ・ロワイヤルを出、地下鉄に乗って帰ろうとする。
しかし出口のところに、長髪のおっさんロックバンドがいて足を止めてしまった。
ポリスの「ソーロンリー」を熱唱している。これならぼくも良くわかる。
パリで懐かしい曲が聴けるとは思わなかった。
演奏が終わる。
余韻にひたりながら、地下鉄パレロワイヤル・ミュゼドゥルーブル駅の階段を下っていった。