須賀敦子のフランス④アヴィニョン

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須賀敦子のフランスでの足跡を追う旅は、ロワール河畔のサン・ブノワ聖堂に続き、アヴィニョンに到達する。
須賀は、アヴィニョンについては、「太陽を追った正月」と題するエッセイで書いているとのこと。
その中では、名所旧跡にはほとんど触れておらず、裏山に上ったときの坂道の描写がさりげなく続いているらしい。
今は、その裏山(ドン岩壁らしい)は、ちょっとした公園のようになっており、整備されているが、須賀が訪れた時はまだローズマリーやラヴェンダーなどの香草が生い茂る所だったようだ。

アヴィニョンの近く、ポン・デュ・ガールにも須賀はふれている。
自分の国フランスにも、好きで来た日本にもなじめない、あるフランス人男性とこの橋を見に来た時の事が書いてある。
月光を浴びたローマ時代の水道橋を、眺める二人。
同じように著者の稲葉ご夫妻も、夜のポン・デュ・ガールを眺めに行くが、その時は橋を背景にした光のスペクタクルショーが行われており、彼らの期待は見事に裏切られてしまう。
せっかくの静かな眺めに対し、なんてことを、と残念がっておられた。

翌日、ご夫妻は、アヴィニオン対岸のヴィルヌーヴ・レザヴィニョンに立ち寄る。
そこでは賑やかな朝市が行われていた。
本の中の写真では、気さくで愛想の良さそうな、細身のフランス田舎風夫人が、笑顔と共に卵を売っていた。
その写真からだけでも「夕方まではこの街にいよう」と思ったご夫妻の気持ちがわかるような気がした。

蛇足ながら自分の経験では、その裏山からのサン・ベネゼ橋の眺めが良かった記憶がある。
ポン・デュ・ガールについては、行こうと試みたが、案内所のミニツアーは曜日があわなかった。
そして橋のそばの案内所の、優しくて綺麗なお姉さんにもらったバスの時刻表を見ても、都合の良い時間がなく、諦めた思い出がある。つくづく残念であった。
あとヴィルヌーヴ・レザヴィニオンへは歩いていき、フィリップ美男王の塔からアヴィニョンの街を眺めた。
写真はその時のものです。