ローマ人の物語ⅩⅠ 皇帝コモドゥス

人皇マルクス・アウレリウス亡き後、その息子コモドゥスが皇帝に就任する。
五賢帝時代は、最適の人物を養子に迎え、その者が皇位を継ぐという、実力主義と正当性を兼ね備えた方法を取る事ができたが、今回は実の息子がいたため、コモドゥスがそのまま後を継ぐこととなってしまった。
そのコモドゥスは、まずゲルマニア戦役を終わらせる。しかしその講和の内容は、疑問点が残るものだった。
しかしそのおかげで、しばらくの間は、ゲルマンとの関係が良好になったとの説もある。
その後、コモドゥスは、20歳という若さのせいもあるのだろうが、ほとんど統治をしなかった。
それでも帝国が維持されたのは、父が忠実な将軍と、官僚グループを残してくれたおかげであった。

22歳の時、姉による暗殺の陰謀が発覚する。
それでますます統治が嫌になってしまったのか、実際にはペレンニスやクレアンドロスが実権を握り、北アフリカブリタニアの問題に対処する。
しかし彼らもいなくなると、まともな人もいなくなり、コモドゥスも剣闘試合や競技会にうつつを抜かすだけになってしまう。
さらには自分も剣闘士として闘技場で戦う有様であった。
映画「グラディエーター」などでは、史実とは異なるものの、彼をモデルにした役も出てくる。
そして、最後は、よくわからない動機による暗殺により一生を終える。
死後、元老院は満場一致で「記録抹殺刑」に処する。

この後ローマは、皇位をめぐる、内乱状態に陥ってしまうのであった。