ローマ人の物語Ⅶ(ティベリウス)

ローマ人の物語
塩野七生 著
1998年9月30日 発行
新潮社

ローマ人の物語擦茲蠅泙困魯謄ベリウス。
アウグストゥス死去のあと、ティベリウスが「第一人者」あるいは「皇帝」の座を受け継ぐ事となった。
就任直後に起こった軍団蜂起。
この時は盟友ゲルマニクスの力により制圧する事ができた。
そしてローマ内の平和と安全保障の確立、なおかつ緊縮財政に取り組む。
ほっといても財政は悪化するのが常である。
人民のご機嫌取を取ろうとすれば、そうなってしまう。
今の日本などはその典型かもしれない。

ゲルマンや東方問題に奔走したゲルマニクスの死。
そして家族間のごたごたや元老院に対する不満の心に耐え切れず、カプリに隠遁する。
といっても、政治権力は持ち続けたわけで、家出のようなもの。
そこからのリモートコントロールのような統治。
その後の国家反逆罪による告発競争。ティべリウス自身の責任も大きいが、それに便乗する元老院議員。
77歳でティベリウス死亡。
常に孤独の影をもち、恐れられたティベリウス
しかし彼の統治の間、ローマは平和で安全、公正な法が施行され、なおかつ豊かな富を帝国の民が享受できた時代。
歴史家モムゼンの「ローマがもった最良の皇帝の一人」という評や
また高坂正堯氏はローマ皇帝の中ではティベリウスに誰よりも共感をいだくとのこと、など、この孤愁の男に捧げられた言葉が重い。