世紀末のユーロトンネル

今日のラジオフランス語講座では、ユーロトンネルについて取り上げていた。
いわゆる英仏海峡トンネルのことである。
なんでも、このトンネルを営業している、「ユーロトンネル社」が保護手続きに入ったとのことだった。
財政難で、債務の返済を凍結せざるを得ないらしい。
日本の高速道路のように、このような巨大プロジェクトではよくありがちなことだ。
この英仏海峡トンネルも、長年の悲願を達成し建設されたが、どうしても大志ある野望達成という面がある一方、どろどろとした利益誘導などもあり、財政面は結局どうしても後回しに成り、将来のつけにしてしまっているのだろう。

このトンネルは、一往復だけ利用したことがある。
ユーロスターを利用し、パリからロンドンまで行ったのだ。
ちょうど20世紀最後の年の今日29日にパリを発った。
パスポートを忘れていないか気をつけながら北駅に着く。
ロンドン行きは、普通のホームではなく、別に区分けされた場所になっている。
一階フロアから階段を登り、パスポートとチケットをチェックされる。パスポートは偽造されていないかちゃんと確認していた。
その後、お土産なども売っている、小さなフロアで乗車を待つ。
「外国に出るんだな」という、緊張感を植え付けられて、ユーロスターに乗る。
冬のどんよりした中、北に進む。
トンネル自体は、特に不自然な気はしなかった。まあ海峡トンネルといっても、海の前に入り口があり、波しぶきが見える、なんてことはあるわけがない。
それよりも、ブリテン島に入ってからの、英語の標示になんとなく安らぎを覚えたものだった。
ロンドンに着く。入国審査で人がぎっしりしている。自分と同じような有色人種も多い。
審査ではちゃんとパスポートにスタンプを押してくれた。

31日、20世紀最後の日、ロンドンを離れる。
早めにウオータールー駅に行く。売店に面したガラス張りを思い出す。やっぱり曇っていた。
こちらの方はたいした手続きも無く、スムーズに乗車できた。
午後4時過ぎにロンドンを発つ。外の薄くらい風景を見ながら、なんとなく切なくなる。
そしてまた英仏海峡をくぐり、大陸に戻ってきた。
パリ北駅に着く。時差の関係で、到着は午後8時半だった。
こちらの入国は全くフリーだった。
いつもと同じように、地下鉄に乗り、下宿に帰る。
ただ一つ違っているのは、明日から世紀が変わるということだけだった。