ルーヴル美術館展 古代ギリシャ芸術・神々の遺産

京都市美術館で開催中のルーヴル美術館展を見に行く。
この美術館には何度も行っている。前回はマルモッタン美術館の、モネ・モリゾの時だっただろうか。
今回はギリシャ系の彫刻、レリーフの類である。
絵画と比べ、フランスからの搬送には更なる苦労があったはずである。本当に神経を使ったのだなと関係者の皆様のご苦労には頭の下がる思いである。
今回のメインはアルルのヴィーナスとボルゲーゼのアレスであろうか。
厳密にはギリシャの原作をもとにローマなどで、前1世紀あたりに作られたものだが、そんなことには特に関係なく、肉体美に圧倒される。結構上背もあるのだ。
ただ、こういうヌード系は、たくさんお客さんのいる中でじろじろ見ているのは、何となく気恥ずかしい。
人の少ない時のルーブル美術館で、同じような作品が並ぶ中、ほろほろ見回れたらいいなと思う。

ここには、ギリシャの墓碑も展示されていた。
古い岩波新書の「ギリシャ芸術」を読んで以来、墓碑の神秘性に惹かれていたので、現物を見れたのは幸いだった。
今回の作品でも、死者とそれを悼む家族が浮き出されたものが展示されていた。
ただそれは、視線を交わしていたので、死者と遺族の間の距離が近くなり、やや神秘性に欠けていたきらいがある。
死者の視線が虚空をさまよっている方が作品としては深くなると感じる。
今回は頭の部分が欠けている作品の方が、かえって想像力を発揮することができた。

全部見終わり、帰りに売店で今回の作品集を買う。
結構重いが、フランス語の訳も載せてくれているのでしょうがない。
原文を見ながら研究できる語学力と鑑識眼があったらなと思う。
まあ、ちまちま日本文を読みながら、作品を研究していきたい。