プロヴァンの鷲は何処に?

中世の町プロヴァンに行く。
この街は、ぼくが訪問した後、めでたく世界文化遺産の指定を受けていた。
しかし当時は、あの著名な「地球の歩き方」にも記述は無く、行くまでどんな所かよくわからず。
まずオフィスドツーリズムでカラー地図をもらう。
さすが中世の町と称するだけあって、城壁や塔などがそろっている。
「セザールの塔」に登る。外にフランスの麦畑が遠くまで広がる。
聖堂を見学する。一通り見終わり外にみんなそろったが、一人だけ出てこない。
中に戻り探すと、マリア像の前でひざまずき、必死になって悔い改めていた、というのはウソ。
単に中がひんやりして、気持ちよかったんだ、とのこと。
確かにこの日は暑い日だった。
シャツ1枚になる。
地下道に入ったり、冷たいデッセールなどを楽しんだ後、鷲のショーを見に行く。
粗末なアリーナのようなところに、中世の衣装を身にまとった人たちがいる。
鷲はアリーナそばの巣箱から飛び立ち、彼らの手にとまっている。
最初日陰だった事もあり、鷲の通り道近くに席を占めていたが、危ないからと移動させられる。
日向で暑く、頭の上にハンカチなどを置く。
鷲は中世人の手から手へ移る。高く飛び立ってもちゃんと戻ってきた。青空に観客の拍手が響く。
いよいよクライマックスなのだろう、空高く鷲が飛び立った。鷲は黒い点のようになる。
あそこから戻ってくるんだ、すごいなあ、と思い、一点を見つめていたが、一向に戻ってくる気配が無い。何度も笛で合図をするが、そのまま飛び立ったままだった。
そしてショーも終わってしまった。観客はすごすごと帰っていった。
鷲はフランスの抜けるような青空の中に消えてしまった。
いや、後でちゃんと自分の巣箱に戻っているのだろう。そして中世の服を着たおじさんに怒られているのではなかろうか。おしおきでしばらく餌抜きかもしれない。