地図とデータで見る 港と海岸線の世界ハンドブック

地図とデータで見る港と海岸線の世界ハンドブック 表紙

地図とデータで見る港と海岸線の世界ハンドブック

アナイグ・オワリー 著

太田佐絵子 訳

メラニー・マリー 地図製作

原書房 発行

2025年5月10日 第1刷

 

カラフルな地図や表が多用されており、大変読みやすくなっています。

世界とありますが、場所的にはフランス本土およびその海外領が一番多く見られます。

なお、原題はAtlas mondial des littoraux 「沿岸地方の世界地図帳(図表集)」です。

 

海岸線を定義して示す

18世紀まで、海岸線はそれほど魅力的な場所ではなかった。農業資源や漁業資源を活用する場であり、労働の場だったのである。

西欧における浜辺への集団的欲求が広がったのは1750年から1840年までの期間としている。近代的なビーチは、保養、そして観光の始まりと同時に見出されたのである。

 

魅力的なエリア グローバル化の中心にあるのか、支えているのか

海岸線は移民にとって管理や監禁の場所となる。

 

19世紀を通してカジノや賭け事が次第に拡大していき、ビーチ・レジャー・ギャンブル・ツーリズムの連携が形成された。ヨーロッパではビーチサイドのカジノの拡大が、スパリゾートやビーチリゾートの開発と関連付けられている。ビーチは治療の場から、次第に遊び場となっている。課税によって税収入が得られるので、自治体当局はカジノの開設を容認している。

フランスではカジノの運営は海辺のリゾートやスパリゾート、人口50万人以上の芸術的な景観を持つ主要な観光都市に限定されている。これはギャンブル部門における海岸線の重要性を裏付けるものである。

 

2017年以降、パリ・プラージュ区域には砂が運び込まれなくなった。パリ市は砂を運び入れていたラファージュ・グループとの契約を打ち切った。セーヌ川右岸では現在、砂が植生に置き換わっている。

 

海辺の開発 どのような沿岸経済のために?

フランスの港は、世界の序列でもヨーロッパの序列でも、停滞どころか後退している。

マルセイユ港は1990年代までロッテルダムアントウェルペンに次ぐヨーロッパ第3位の港だったが、2000年代以降はハンブルクアムステルダム、アルヘシラス、ピレウス、ジョイア・タウロに追い抜かれている。

1964年、マルセイユ旧港から西約50kmのところにフォス=シュル=メール工業港湾地帯が新設され、貨物や炭化水素の取扱業務がマルセイユから移動した。歴史的に貿易をになってきたマルセイユ旧港は、今ではヨットハーバーになっている。かつて港湾倉庫としてもちいられたレ・ドックと呼ばれる歴史的建造物があるジョリエット地区の埠頭では、現在コルシカ島マグレブ諸国への旅客輸送だけが行われている。

 

フランスでは「栄光の30年間」に国家が港湾管理の中心的役割を果たしていたが、1970年代以降、国家が管理から離脱する傾向が見られるようになる。国家が港湾に割り当てる 投資予算は、1975年から2005年にかけて大幅に減少している。

 

マルセイユでは、街の社会経済的困難に対処し、廃工場跡を再生するため、1995年にユーロメディテラネ事業計画が始動した。海岸沿いの高速道路の地下化、港湾倉庫のイメージの再生、旧市街と海とのつながりの再構築など、様々なプロジェクトによる海辺(ウォーターフロント)の再開発も行われている。

地元住民は、港湾地域の社会構造を変えるこうしたプロジェクトにたびたび異議をとなえてきた。

 

フランスでは灯台に関心が持たれるようになったのは最近のことである。というのも、灯台が保護されるべき遺産の対象になったのは1990年代初頭からであり、1995年の「音と光」のストライキを経て、灯台守の離反を招いた最後の大きな自治化の波が起こった後だからだ。

 

海岸線と環境変化

アルカションの洪水管理のシナリオ

2010年実施された調査で、住民と観光客に提案された解決策

・全く変更なし

・堤防のかさ上げ

・砂の追加

・捨石の追加

・水門を通して干拓地を海に開く

・堤防にできた亀裂…内側堤防を追加

・再配置 陸地のより内側に堤防を設置

 

沿岸地域の紛争と不平等

海岸線には過去の紛争による建造物の痕跡が残っており、現在は遺産とみなされている。かつては海岸線を守ることが国土の防衛に貢献していた。ルイ14世に仕える技術者だったヴォーバンは、1683年からブルターニュとノルマンディーの海岸線を要塞化し 、防衛システムを構築した。潜在的な攻撃者を阻止し、撃退することを目的として、様々なタイプの要塞が建設されている。

 

プレグジット後、海洋面では、イギリスの主権下にある海域(領海)と、イギリスの管轄下にある海域(排他的経済水域= EEG)は欧州連合加盟国と共有されなくなり、イギリスは領海とEEG統治権を取り戻した。

 

2021年1月1日より、イギリス本国から輸入される製品に対して、北アイルランドの港で税関検査が行われるようになった。つまりイギリスは海上の国境によって2つに分断されているのである。

 

リオデジャネイロにおいて、いわゆる「秩序の衝撃」キャンペーン以降、地方自治体は海岸の公共空間の管理にますます関与するようになっている。ビーチで好ましくないとみなされる人々に対する追放や取締りが増加している。特にターゲットとなるのは、ホームレス、売春婦、行商人だが、黒人、若者、労働者階級地区出身者も対象となる。