
面白くて眠れなくなる日本語学
山口謡司 著
PHPエディターズ・グループ 発行
2023年2月9日第1版第1刷発行
はじめに
日本語には、擬音語、擬態語がたくさんあるが、英語やフランス語、中国語には音のちょっとした違いによって語感を異にする擬音語や擬態語は存在しない。
Part Ⅰ 変わり続ける話しことば
フランス語から「H」の発音がなくなってしまったのは1600年頃。
今から1300年ほどの前の日本、日本人もハヒフヘホの発音をすることができなかった。
アメリカ国務省発表の「外国語習得難易度ランキング」では唯一日本語だけが最高難易度ランク5+に分類されている。
こんにちはをコンニチワと発音する日本語
「こんにちわ」と書く方が新仮名遣いという現代日本語の原則に即して言えば、正しいのではないかと思う。
「にゃー」「スーパー」など長音符の「ー」は、明治33(1900)年8月から存在する。
方言も地質も境界は糸魚川・静岡
Part Ⅱ 日本語と世界のことばとのふれあい
森田思軒の訳は全くこなれていません。全く日本語としての美しさや読みやすさなど期待できるものではありません。
でも原文と合わせて読んでると、原作者が考えていただろうことへ導いてくれるのです。
(誠実な醜女か 不誠実な美女かという話か)
「経」を「キョウ」と読むのは呉音、「ケイ」と読むのは漢音
呉は中国の南方、揚子江流域の地方を言います。南北朝500年頃に梁という王朝がありましたが、そこで栄えた仏教や儒教の言葉が、我が国に伝えられました。奈良六大寺で読まれるお経はほとんどが呉音です。
これに対して漢音は唐(618〜907)の都長安で発音されていた漢字音です。
ヘボン式は幕末から明治初期に日本にやってきたアメリカ人宣教師ジェームス・C・ヘップバーンの考案によるもので、アメリカ人の耳に聞こえる日本語をローマ字化して書いたものです。
訓令式は、イギリスに留学した明治時代の地球物理学者田中舘愛橘が、音源学の理論に基づいて、記号化したものを元にして作ったものです 。
どちらも不完全で、日本語の発音をどのようにラテン文字化するかという課題は、まだほとんど解決されていない問題なのです。
Part Ⅲ 日本語を調べ、作ってきた人たち
本居宣長のすごい業績
・古典研究
・日本語の文法についての研究
・漢字音研究
Part Ⅳ 日本語のひろがり
ら抜きことばに対する視点
・ことばの乱れ
・言語学的に、あるいは日本語史的視点で言うと、この現象は室町時代後期に起こる五段活用の影響
「読むことができる」(可能の意味の現代日本語)
古語「読むる」
室町時代以降の五段活用=「読まれる」
「お読みになる」(尊敬 、丁寧の現代日本語)
古語「読まる」
室町時代以降の五段活用=「読まれる」
となって混同してしまう。
このことによって可能の意味の「読まれる」は、次第に「まれ」の部分が「め」に変わって 、「読める 」になってしまう。
これが 「ら抜きことば」が生まれてくる原因だった。
町へ行き、映画を観た。
ボートを漕ぎ、 川を渡った。
(漢文的で、歯切れがよく、引き締まった文章)
町へ行って、映画を観た。
ボートを漕いで、川を渡った。
(現代的な感じがし、より口語的な文章)
日本で呼ばれる動物の名前は基本的に古来日本にいる犬や猫、猿といった動物や、江戸時代までに日本にやってきた動物は、すでにあった日本語名で名詞がつけられています。
これに対して明治時代以降に初めて外国からやってきた動物には、英語名が付けられています。
しかしキリンはちょっとした例外です。
本来ならジラフと呼ぶべきもの。
動物園に買う予算をもらうために、麒麟という名前を使った。