パリの国連で夢を食う
川内有緒 著
イースト・プレス 発行
2014年12月22日 第二刷発行
パリに住み、国連機関で働いた実体験をもとにしています。
国連内やパリの人々の中などで生き抜く著者のパワーに圧倒されました。
自分がパリで住んでいたアパートに、著者の方も住んでいたのには驚きました。
序章 エッフェル塔は輝いて
第一章 迷宮と穴蔵
パリの建物は、大まかに旧建築と新建築という二種類に分かれる。
旧建築は、縦長のフランス窓に白い壁、そして濃い色のフローリングがある。
新建築は第二次世界大戦後に建てられた建物の事を指す。たいていは、機能重視で何の変哲もない集合住宅である。
スクワット
アーティストやホームレスの人々が不法に占拠した場所
59リヴォリはパリ最大のスクワットの一つ。
15区のブシコーという地下鉄の駅そばのアパート
穴蔵アパートの最寄り駅のレドリュ・ロランはフランス語風にRの発音をしないと通じないが、ブシコーはフランス語とは思えないほど言いやすいから気に入った。
第二章 国連のお仕事
フランス人のエリートの同僚の英語
彼の英語の文章はラテン語の影響をモロに受けていて装飾的で哲学的な言葉が山脈のように連なる。
ラテン語と逆に英語は、シンプルな語彙で的確に伝えることを美徳とする。
同僚の半数ほどが二つ以上のパスポートを持っていた。
みんな戦争やクーデター、内戦などを経験し、「政府は身を守ってくれない。身を守るのは自分だけ」と口を揃える。
59リヴォリは家賃はおろか電気代も水道代も払っていない。工事をして電気や水道を不法に通して見せた。
長い法廷闘争と政治的な駆け引きで、ここに半永久的にアトリエを構える権利を奇跡的に獲得した。
第三章 パリの空だけが見えた
ブシコーは閑静な住宅街で、東京でいえば世田谷区みたいなところだ。
同僚の住んでいるクレテイユはパリの郊外で、地下鉄八号線の終着駅
実際の距離は離れていないが、パリではなくバンリュー(郊外)
イタリアを怖がる黒人の同僚
田舎では黒人を見ると石を投げてくる。サッカーでも試合に黒人が出たらブーイングをするらしい。
ブシコーの巨大なアパートビルは、百人ほどのオーナーで構成される組合が管理している。
その組合は、ある時市役所でビルの登記を更新するのを忘れた。登記は自動的に更新されなかった。
ということで、あのビルは一時期この世に存在しないことになってしまったのだ。
当然、存在しないアパートを売ることはできない。
1982年に始まった「音楽の日」
音楽の日のスピリットは楽しいことがすべて。
第四章 転がる石
紙専用のごみ箱をすべての部屋に置くだけでも半年くらいかかった。
国連のような組織で新しいことを導入するのはたいへん。
第五章 不思議の国の魔法はとけて