パリのボジョレー・ヌーヴォ解禁の日

パリにいた時、ボジョレ・ヌーヴォ解禁日の夜、ビストロに出かけた。
場所は、Le Rubisという店である。ブランドストリートとして有名なフォーブル・サントノーレ通りから一本路地に入ったところにある。
その店の前で待ち合わせになったのだが、来てみて驚いた。もうすでに人でごったがえしているのである。
店からワインのビンと透明のプラスチックのコップを持って出てくる人がいて、そこら辺で飲んでいるのだ。
しばらくして、待ち人が、人ごみを掻き分けるようにやってきた。その人たちにとっても想定外のことだったらしく、「やあやあやあ、会えてよかった」という感じだった。

狭い店の中に入り、何とか注文する。
最初は立ち飲みだったが、席が空いたのでそちらに移動できた。あらためてカンパーイである。
しばらくいた後、さらに店が混んできたので、ワインのビンとコップを持って外に出る。
たまたま近くにいたアイルランド人の夫婦と話が弾む。ちょうど前回のワールドカップ予選で、アイルランドが出場決定した直後だったので、たいそうご機嫌だった。
みんなで記念写真を撮る。そのときは気づかなかったのだが、あとで写真を見ると、うれしそうにキスしやがっていた。

店の前を離れ、マルシェ・サントノーレのあたりを日本人だけでうろつく。
連れの人は、機嫌よく酔っ払っていた。
その人は途中、店先でボジョレを売っている所があったので、さらに買い込む。
多量のビンを持って近くで夕食をとる。
食事が終わったあと、さらに酔っ払ってしまった。
ワインのビンが重くなってしまったようだ。何本か持って帰ってあげた。
翌日会った時に、昨日の分です、と渡したが、えっそうなのと言っていた。
酔っ払って覚えていなかったようだ。