#小説

ノートル=ダム・ド・パリ(上) ユゴー作(岩波文庫)

ノートル=ダム・ド・パリ ユゴー 作 松下和則 他 訳 2016年5月17日 第1刷発行 岩波文庫 作者がノートル=ダム大聖堂を探りまわったとき、塔の暗い片隅の壁に「宿命」という意味のギリシャ語を発見する。 この物語はあの不思議な言葉から生まれた。 昔から…

李陵・山月記 弟子・名人伝 中島敦 著

李陵・山月記 弟子・名人伝 中島敦 著 昭和43年9月10日 初版発行 平成28年4月20日 改版67版発行 角川文庫 中島敦の本については、以前、家にあった古い文庫本を読んだことがあった。 それには、「宝島」の作家、ロバアト・ルイス・スティーブン…

乱菊物語 谷崎潤一郎 著

乱菊物語 谷崎潤一郎 著 1995年6月18日 発行 中公文庫 谷崎潤一郎による、室町時代末期、室津や家島を主な舞台とした作品です。 導入部分は穏やかなのですが、だんだんどたばたどたばた物語が動いていきます。 しかしながら前編で中断されているのが残念です…

ゲーテ 親和力(集英社文庫ヘリテージシリーズより)

このたび、この集英社文庫ポケットマスターピースのゲーテを買った理由の一つに、巻頭の白黒写真がありました。 それは聖オーディールの名を冠したアルザスのオディーリエンブルグ修道院の写真でした。上の写真は自分がここを訪問したときに撮ったもので、単…

ノーベル文学賞、フランスのパトリック・モディアノ氏へ

すっかりこの時期の風物詩となった、村上春樹さんのノーベル賞狂想曲。 今年も残念でした。 まあ村上さんはノーベル賞とらなくても、十分世界的に有名だし、ご本人のエッセイとかでもノーベル賞については否定的な感じなのでまあいいや、と思いつつ、やはり…

色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年(断片的なネタバレ注意)

色彩を持たない 多崎つくると、 彼の巡礼の年 村上春樹 著 文藝春秋 発行 2013年4月22日 第3刷発行 簡略な相関図 沙羅 | 緑川 ― 灰田 ― つくる――――アオ | | | |―アカ | | | |―クロ | | |―――――――――シロ この物語を支配しているのは、結局沙羅 …

サマセット・モーム 「昔も今も」

昔も今も サマセット・モーム 著 天野隆司 訳 筑摩書房 発行(ちくま文庫) 2011年6月10日 第一刷発行 読みたいなと思っていながら読めなかった本を、たまたま発見したのは嬉しいことです。 この小説は塩野七生さんの「わが友マキャヴァッリ フィレンツエ…

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2009 村上春樹 著 文藝春秋 発行 2010年9月30日 第1刷発行 これは日本だけでなく、フランス、ドイツ、スペイン、ロシア、アメリカ、中国、台湾などの雑誌やウェブサイ…

ぼくはサイード③

翌日、午後3時、ヨウコに誘われて学校を出る。 彼女と一緒に、カルチェ・ラタンのサン・ミッシェル通りの緩やかな坂道を下り、セーヌ方面に向かう。 シテ島の手前で、左に折れ曲がる。どうも警視庁のそばには近寄る気がしない。 ブキニストのそばを通りなが…

ぼくはサイード①

ぼくはサイード パリ生れのパリ育ち といっても、「花の都」なんていうイメージとは全然違う、北の方の、地区。 ぼくのようなアラブ系や、アフリカ系が多く住む地域。 ぼくのおじいちゃんは、北アフリカからフランスに来て、ごみ掃除など白人がやりたがらな…