2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

万里さんの夢見た青空

米原万里様 先生の書かれた本、今までたいへん楽しく読ませていただきました。 「ロシアは今日も荒れ模様」などのエッセイ集では、先生のロシア語通訳としての貴重な体験から、エリツィンなどの有名人のエピソードから、混乱時のさまざまな珍しい出来事まで…

村と小さな教会 街と大聖堂

フランスの田舎の村 いにしえの「教区」の区域を元にした村 教区の範囲を決める時 ほんとかどうかは知らないが 教会の鐘が聞こえる広さで決めたという 田舎に響く鐘の音 日の終わりには 農作業にいそしんでいた村人たちは 晩鐘の音を聞いて お祈りをし 仕事…

大聖堂まで(ストラスブール編)

20世紀の最後のほう やり手の女市長が やり手の男技術者を招聘し ストラスブールの大改造を依頼した。 車は便利だけれども 排ガス、騒音まきちらし 街は汚くなっていた。 技術者は 街の真ん中から、車を追い出し トラムや自転車や徒歩で 移動できるよう考…

ストラスブールの広場(クレベール広場)

ヨーロッパの街の中心に 必ず位置する「広場」 その空間は 建物に占められた街の中で ひとびとが直接空の恵みを満喫できる場所 そこで集い、出会い、そして別れる ここストラスブールでは クレベール広場が、街の中心地 クレベール将軍の記念像の後ろには 多…

ストラスブールの「鉄の男」

旧市街に入り、 「いにしえのワイン市場」通りや 「子供たちの遊び」通りなどをさまよい ホテルに到着する。 すぐ近くには 「鉄の男」という名の広場 ここは今は最新型トラムの駅 ロトンドと呼ばれる 環状ガラス屋根が 天使の輪のごとく 天と地をわける 鉄の…

ストラスブールの通りの名前

世界のどれくらいの国が また ヨーロッパのどの程度の範囲で 採用されている方法か知らないけれども 少なくともフランスとその周辺では 住所を表すには 通りの名前と番地で表す。 そのため、どんな小さい通りでも ちゃんと名前をつけてあげ そこに住んでるど…

中州の街 ストラスブール

むかし、ヨーロッパが森でいっぱいだった頃 旅をするには命がけ 追いはぎ、強盗、人殺し 野獣もうようよ森の中 そんななか 街は砂漠の中のオアシスのごとし 外敵から自分の集落守るため 堀や門を整備して ほとんど城塞のよう いざ戦いの際は レンブラントの…

ストラスブール駅にて

4時間にわたるフランスの記録映画。 BGMは列車の音のみ。 さりげない風景にひそむ、歴史と地理の融合体。 いよいよ映画の幕は下がり、 人々の住む、現実の街へ入り込む。 ストラスブール駅に着く。 荷物と一緒に、未知の街への不安と期待をしょいこんで…

ヴォージュとラインのあいだ

ヴォージュの緑を抜け 特急はいよいよアルザスの大地に入る フランスとアルザスを分かつ ヴォージュ山脈の標高 ドイツをアルザスと分かつ ライン河の水深 みんなの「不寛容と憎しみ」により 見た目は同じはずなのに こころの標高と水深は あるときはエベレス…

緑を映すフランスの運河

ナンシーを過ぎ、アルザス行き特急は更に東へ 線路と並んで運河は水をたたえてる 水面上には緑が反射されている フランスの大地を分かつ大河たち セーヌ ロワール ローヌ河 端っこにはラインが流れる 大河は人々を分け、境をなす しかし人々、河を使って水運…

ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル

ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前 塩野七生著 新潮社 「ローマ人の物語」の第4巻。ユリウス・カエサルの、誕生から幼年・青年期、そしてルビコン川を渡るまでの人生を描いた巻。 塩野先生の本は「イタリア人の手紙」「マキャベリ語録」「ル…

ナンシーの「名前」

アメリカがまだ 日本にとって眩しい、憧れの国だった頃、 日本語の「米国」より、 中国語の「美国」という表現が似合っていた頃、 そこに住んでいた女の子 金髪で、青い目の、あどけないアメリカの女の子 そんなステレオタイプの 女の子の名前を 大西洋をは…

アルザス行きの特急

フランス中を走り回っているTGV。 パリ~ストラスブール間には、まだそれがない。 よくわからないけれども、 アルザス地方へ続く道、またパリへ向う道への 心の傷が竣工を遅らせたのだろうか。 しかたなく自分は特急に乗っていた。 4時間かけて、東へ真…

パリ東駅から東へ

まだフランスが、フランスらしくフランを使っていた年の初夏。 日本では、なぜか「パリ祭」と呼ぶらしいが 革命記念日の日、 私はパリの東駅の中に立っていた。 「アメリ」の映画そのままの、 東駅の、がらんとした、構内。 そこを抜けて、プラットフォーム…